混合性結合組織病
病名
小児期発症混合性結合組織病(Mixed Connective Tissue disease in Children: MCTD)
小児期発症混合性結合組織病(MCTD)はどのような病気か?
小児リウマチ性疾患(膠原病)として一括されている病気の中には、2つ以上の病気が重複したり別の病気に移行したと思われる複雑な病状を示す例があります。このようなものをリウマチ性疾患の「重複症候群」と呼んでいました。
その中に、一群の共通するパターンを示す病気が認められ、これを「混合性結合組織病」として一つの病気として扱うようになりました。
共通の病状の現れ方は、第一に全身性エリテマトーデスを思わせる臨床症状、全身性強皮症を思わせる臨床所見、および多発性筋炎/皮膚筋炎を思わせる臨床所見が、同じ患者さんに同時にあるいは病気の経過とともにみられることです。
第二には血液検査により抗核抗体(斑紋型)がとても高い値で検出され、詳しく調べると特異的に抗U1-RNP抗体が検出され診断がなされることです。
混合性結合組織病と診断された患者さんに共通にみられる症状に「レイノー現象」と「指・手甲の腫脹(腫れ)」があります。レイノー現象とは、気候が寒くなると手足の指の血流が滞り、指は紫色に変色して痛みが生じます。全身性エリテマトーデス様の所見として関節炎、全身のリンパ節の腫れ、顔の紅斑など、強皮症様の所見として手先・指先の皮膚色の赤~紫色の変化、呼吸器症状など、筋炎様の所見として筋痛・筋力低下などが見られます。長期経過の中では肺高血圧症、呼吸不全、心不全など心肺系の障害に注意する必要があります。
小児期発症MCTDの治療法は?
炎症を抑える治療と免疫系の機能異常を抑える治療が中心となります。また病状により適切な治療法を選ぶ必要もあります。プレドニゾロン(副腎皮質ホルモン)を基本にして、関節炎が強い例ではメトトレキサート、SLE様症状が主たるときにはヒドロキシクロロキンやミコフェノール酸モフェチルなどの免疫抑制薬を併用します。強皮症様症状であるレイノー現象や肺動脈性肺高血圧症などは十分な経過観察と治療効果の評価が重要になります。