若年性特発性関節炎
病名
若年性特発性関節炎(Juvenile Idiopathic Arthritis: JIA)
若年性特発性関節炎JIAはどのような病気か?
若年性特発性関節炎(JIA)は、高熱が続き身体に薄赤い紅斑が現れたりしながら、一方で、上肢では手首、肘、肩の関節、さらに指の小さな関節に腫れと痛み(関節炎)が生じ、また下肢では股部、膝、足首の関節に関節炎が生じる病気です。首や顎の関節などに関節炎が生じることもあります。
病状の現れ方、進展の仕方で大きく7つの病型に分けることで適切な対応をすすめることができるようになりました。
まずは「全身型」です。突然高熱が続き身体には薄赤い紅斑が出没し、リンパ節の腫脹とともに肝臓や脾臓が腫れ、主として肩関節と股関節に関節炎が生じます。
病勢が進行すると困ったことに「マクロファージ活性化症候群」に移行して生命に関わる病状を呈するようになります。この病状は炎症を起こす源である炎症性サイトカインが、身体が制御できないほどにたくさん分泌されることにより生じることが分かり、最近では診断さえ確定すれば効果的な治療が可能になりました。
次は「多関節型」ですが、定義では5か所以上の関節に関節炎が生じる病型です。
高熱は出ませんが、上肢・下肢の関節に関節炎が現れます。また、血液検査でリウマトイド因子が陽性の型と陰性の2型に分けます。リウマトイド因子陽性型は、成人の慢性関節リウマチに類似の病態と考えられています。
「少関節型」は1~4か所に限られる関節炎のJIAで、持続する例とやがて5か所以上に関節炎が及ぶ例とがあります。その他の3病型は乾癬性関節炎(乾癬という病気に併発する関節炎)、付着部炎関連関節炎(筋肉の末端部の腱や靭帯の骨の付着部に炎症が生じ関節炎が起こる)、未分類関節炎です。
最近のJIAの治療法は?
若年性特発性関節炎(JIA)の治療は、国際的に同じ治療法が用いられるようになりました。
全身型JIAでは、過剰な炎症性サイトカインを抑制する分子標的療法が中心です。少関節型・多関節型JIAでは少量・間欠的メトトレキサート(MTX)内服を基盤にして、非ステロイド抗炎症薬、少量グルココルチコイドを加える併用療法が中心になります。分子標的療法も選択肢の一つです。JIA治療をすすめつつ筋肉の機能維持のためにリハビリテーションを行うことも大切です。